こんな夢をみた。
いつものゲーム会。
微笑みとそこからちろり、と覗く八重歯が素敵な彼女が、
今日は魔法使いだった。
「なんか、なっちゃったみたいなんですよー。」
今日はいい天気ですねー!くらいの能天気さで彼女は言った。
「何か使ってほしい魔法、ありますー?」
「ま、マハマンで。」
こんなときに”願いを一つだけ叶える魔法”をセレクトするあたりが
卑しいゲーマーの性というものかもしれない。
「じゃあ、いきますよー!マハマン!…はい、かんりょーしました!」
「…何も変わらないんだけど?」
「そんなことないですよー?ほら…」
そういうと同時にずいっ、と顔を寄せてくる彼女。
その髪…いや体中から仄かに漂うバニラの香りに顔が赤くなるのを感じる。
「…!?」
「ふふ、コティのバニラフィールドですー!」
彼女は、ぱっと私から離れて、
「丁度切らしてたんですけど、買い忘れちゃって、
腹いせにそこでバニラアイス食べてきたんです。
だから、食べたアイスが香水になればいいなとお願いしたんですー。」
と、牙が煌めく素敵な笑顔で言った。
「な、なるほどね…って、俺のために使ってくれたんじゃなかったっけ?」
「?? そうですよー?」
彼女は首を傾げて続けた。
「だって先輩、においふぇち…」
「はわわわわわ。」
*ゆうしゃ は さらに あかくなった!*
…そんな夢はまだ終わりそうにない。
◆
※単語03:こうすい【香水】
香料をアルコール等に溶かしたもの。
多くの人はそれを幸水と思って身に着けるが、
本人が慣れてしまうためか、しばしば洪水と化している場合がある。
目に見えない結界のようになってしまったそれは
さながら香水(こうずい:仏教における清めの水)のように他者を寄せ付けない。
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(上記はすべてフィクションであり、
特定の人物、団体、単語等とは一切関係ありません。)
文章:U
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