【マドロミの単語帳】♯03:諸葛連弩
いつものゲーム会と魔法使いになった彼女。
そんな夢はまだ続いていた。
彼女は言った。
「せっかくだから、皆の願いも叶えちゃいますね!えーい!」
”折角だから赤い扉を選ぶぜ!”くらいの何気なさで、
彼女はまた大魔法を発動した。
ボードゲームをしている皆の周囲が淡い光に包まれていく。
次の瞬間、周囲で悲鳴が次々とあがった。
「おおお、重っ。」
”キャッシュアンドガンズ”についていた銃が
ずっしりと冷たい黒鋼となった。
「お姉さん達が気持ちよくしてあ・げ・る。」
”インフェルノ”に描かれていた
残虐な悪魔達がテーブルの上でその淫蕩な脚線美を披露していた。
「ダイジョウブ、アヤシクナイ、ダイジョウブ…」
”コズミック・エンカウンター”から出現した寄生生物に
体を乗っ取られている者もいるようだ。
他にも様々なゲームが光を放ち、
ゲーム部のプレイルームは今や伏魔殿の様相を呈していた。
「もももも、元に戻してくんない?」
不敵な表情を浮かべるゴキブリや蜘蛛やカメムシが
足元をカサカサと這いずり回っている中、
私は彼女に懇願した。
「ごめんなさい先輩っ。
使い過ぎで、もう魔法打てないんですよー。」
彼女はぱんっ、と両の手を拝むように合わせて言った。
「…へ? ええええええっ。」
「でも、ダイジョウブです!だって先輩のターンですしー!」
彼女はいつものようにあっけらかん、と言い切って私を見た。
…私のターン?
気づくと傍には”三国殺”の英雄達が膝を折り私の命を待っていた。
手札を確認して私は言う。
「今や世界は異界の魔物達に蹂躙されんとしています。」
彼らに武器と、溢れんばかりの”殺”カードを渡して続ける。
「中原を、世界を救ってください。」
「「拝領。」」
彼らは短く呟くと武器を構え…打ち抜く!
諸葛連弩の連続射撃が魔物達を的確に射抜いていく…。
…そんな夢を見た。
◆
※単語04:しょかつ・れんど【諸葛連弩】
カードゲーム”三国殺”内の最強武器の一つ。
あまりにも強すぎるため、
これを持っているだけで皆に警戒…
…どころか袋たたきにされる危険アイテム。
強すぎる力は身を滅ぼすの具現。
◆
(上記はすべてフィクションであり、
特定の人物、団体、単語等とは一切関係ありません。)
文章:U
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