【マドロミの単語帳】♯13:鎮魂歌

【マドロミの単語帳】♯13:鎮魂歌

…こんな夢を見た。

手にはべっとりと重い汗。
背中を無数の蜘蛛が這いずり回るような感覚。
視界がどんよりと曇って、世界がよく見えない。

そんなときは、

そんなときは静かに息を吸って目を閉じる。

そして彼女のことを思い出す。

木漏れ日のように微笑んでいた彼女。
菫の香りと共に抱きしめてくれた彼女。
何気ないものをくれた彼女。
走る汗が綺麗だった彼女。
チェスのナイトを摘む細い指先の彼女。

そして今の彼女。

そこまで思い出して、私はゆっくりと。
本当にゆっくりと息を吐く。

もうこれ以上ないというくらいに吐き続ける。

体中の全ての酸素が無くなって、
萎んで居なくなってしまいそうなくらい、
ゆっくりと、本当にゆっくりと深く。

最後に彼女の唇の感覚を、そのすべてと共に思い出す。

そして目を開ける。

もう大丈夫だ。

雨はもう止んだ。

世界はこんなにも晴れている。

…そんな夢を見た。


※単語14:ちんこんか【鎮魂歌】

それは静かに眠るもの達への唄。
それは生き残っている人のための詩。
それは悪しき叫びを鎮めるための歌。
それは時として胸を突き動かす唱。

(上記はすべてフィクションであり、
 特定の人物、団体、単語等とは一切関係ありません。)

文章:U

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