【D’s story】Gymnopedia No.1 ~Lent et douloureux&triste~

気がつけば、私は好きな人(以下称「好きな人」)と一緒に山の麓に居た。
ぽつぽつ雨が降っている。ちょっと肌寒い。多分3月末あたりだろうか。
空気の匂いからして恐らくここは日本。日本のどこかの山だろう。
手は繋がず、相合傘もせず、何も話さず、黙々と二人で坂を登っていた。

(私はなぜここに・・・)

好きな人は口を執拗に閉じながら前を見据える。
私は好きな人の横顔を見たり前を見たりなにかソワソワしている。

ふと、先に一つのバス停が見えた。
レトロなバス停で、木製の小屋になっている。
だが何故か二人くらいしかベンチには座れない。
先着者は0名、案の定私たちだけでベンチに腰を下ろした。

山中にあるバス停ど言えど、人気がないのはあまりにもおかしい。
そうここはまるで、二人だけの世界かのような場所だった。

私たちが今何故バス停で止まり、どこ行きのバスを待っているかは知らない。
好きな人も恰も心を閉ざしたかのように、何も語りかけてこない。
でも私は肩から伝わる好きな人の温もりでどこかホッとしていた。

時は経つ、10分20分30分と時間は過ぎ去っていく。
周りは依然春雨の交響曲。

隣で静かに前を見据える好きな人の目が眠そうなのに気づく。
私は話しかける「眠いの?」と。
好きな人はなにも答えない。こちらを振り向こうとも頷きもしない。
まるで私の声が届かないかのような。
でも、ミステリアスな好きな人は何も言わず、何も反応を見せず、
自然に頭を私の肩に委ねた。
好きな人が私の肩を枕代わりにしている。
こんな事初めてだった。だから緊張した。座勢が端正になった。
好きな人の鼻息や鼓動、温もりがより近くに感じる。
不謹慎ながらも私は緊張した。
そして好きな人は眠りについた。

すやすや寝る好きな人の横顔を眺めているのが幸せだった。

私は前を向く。
考える、なぜ私はここにいるのかを。
時間が経つ。
また10分20分30分と。
春雨の交響曲もいつしかは、肘笠雨と樹雨の大合唱になっていた。

刹那、木製の小屋の天井が溜まりに溜まった雨の重さに耐え切れず、
裂けて大量の水と木の破片が好きな人の身体にのみ襲い掛かった。
不思議なことに、好きな人は「猫」に変身した。

・・・そんな夢を見た。
続いて私が驚いて夢から覚めた。
猫になった好きな人は夢の中に置いてきた。
記日、4月27日也、約1ヶ月だった。

Hill_2

文章:D

参考文献:Ronshi

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