【サイコロ】無茶ブリ3行リレー劇場 第3話

 

無茶ブリ3行リレー劇場ゲームルール:

①無茶ブられた人は、最低3行以上(出来る限り沢山書いて下さい)の小説を無茶ブリした人の話に引き続き書く。
(更新日は日曜日)
②無茶ブられた人は、その週の話に関連する写真を1枚小説と共に掲載する。
③無茶ブリの対象は、1回でも上海ゲーム部HPに投稿した事のある人を選ぶ。
④無茶ブリの対象は連続で同じ人物を指名してはならない。最低中2週開ける事。
⑤作風は人それぞれ自由。
⑥1作品、10話目で絶対に完結させなければならない。

第3話 【サイコロ】

ドアを振り返ると今度は客だろうか?

高級感は感じさせないが、どことなく品の良さそうなスーツを
まとった老人が入ってくるところだった。

老人は軽くバーテンダーに会釈をすると、ドアに近い椅子に腰掛けた。
バーテンダーは先ほどと同じように手際良くお酒を選び シェイカーを振りはじめた。

注文を聞かないところを見ると常連なのだろう。
そう思っていると老人と目が合った

「この店は初めてかね?」
「はい。このお店には良くこられるんですか?」

老人は屈託のない笑顔でこう答えた。

「最近は毎晩のように来とるよ」
「ここに来るのが楽しみで生きとるようなもんじゃ」

バーテンダーが出来上がったカクテルを老人の前に置く
老人は出来上がったカクテルに口をつけてこう続けた。

「そのサイコロどう思う?」

私は再びサイコロに目をやった。

「きれいですよね」
「それだけかね?」

私は少し考えた。
このサイコロはなんだろう?
なにか特殊なサイコロなのだろうか?

「なんか…安心感を感じられるというか…  
    転がしていると体が楽になるような気がしますね」

老人は頷きながら満足気な顔を見せた。

「それはわしが長年研究して作ったサイコロだが特殊な素材で作られてるのじゃ」
「特殊な、というと?」
「世の中には毎日サイコロを振って生活する人種が昔から居る  
    その人たちの多くは長い時間座りっぱなしになるため肩と腰を痛める」

そういえば私も肩こりと腰痛には悩まされている。

「そのサイコロは転がしているだけで体のコリをとる素材でできておる。
 だからえ~と、まだ名前を聞いていなかったの?」

「あ、佐藤 江実です」
「江実さんじゃの。わしの名前は無張じゃ」

体のコリをとるだって?
そういえば腰の痛みがなくなっている。
まさかほんとに?

そんな整体要らずのサイコロができちゃったら 世界中の整体士の方が困るじゃないか。

「そんな素材があるのですか?」
「いろんな素材を混ぜ合わせて出来た物で自然界には存在はしないがの」
「必要な素材を集めるのに苦労したわい、アマゾンの奥地にいる虫の体液だったり
 サルの尻尾だったり」

そういえば私も昔友達にすすめられて一時期ハンターをやってたことがあったっけ。
高校卒業後だから…12年も昔の話だ。

ハンマー使いになろうとして、ぎっくり腰になったり
弓使いになろうとして常に弓を構えていて肩が痛くなったり。
結局はすぐに辞めてしまったけれども、あの頃が一番楽しかった気がする。

このサイコロがあればまたハンターとしてやっていけるのだろうか。
もうこれ以上、居酒屋の厨房で肉を焼き続ける作業は嫌だ。

「そのサイコロを譲っていただくことは出来ないでしょうか?」

無張はしばらく考え込んでたが、バーテンダーにこう話しかけた。

「我那屋さんどう思うかの?」

バーテンダーの方は我那屋という名前なのか。
彼女はゆっくりとこちらを向き、私を見た。

「イャンクックを捕まえて来て頂ければ私は構いませんよ」

イャンクック。
最近畑を荒らしに来ると新聞に出ていた矢先だ。
確かうちの近くの神社で飛行しているところが目撃されていたな。

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だが昔使ってたハンマーや弓も、とうの昔に処分してしまった。

右キックか…
今の私に右キックだけで倒せるものなのか?

このサイコロ無しで右キックを連発しては激しい腰痛が発生する事は必至だ。
それどころか腹筋も凄まじい筋肉痛に襲われ、腹痛と腰痛が同時に発生するだろう。

失敗したときに私は立ち上がれるのだろうか?

「やめるかね?」
無張が私に向かってこう言った。

老人の言う通り、やはりやめておこうか…
このまま肉を焼き続ける日常に戻るのか?

その時、頭の中で祖父の言葉が蘇った。

―――おら、強ぇ奴に会うとわくわくすんだ―――

祖父なら出来ただろう。
むしろ、満月の夜には大猿になって狩られる側だ。

こういう時、祖父ならやはり、わくわくしているに違いない

…..私だって…右キックだけで倒してみせる。

「やらせてください」

 

次のターン:【柚】さんを指名します。

メッセージ:話の展開、よろしくです♪

                                                                              文章:グリズリィ

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