どうもtokiだよ。ここ最近HIP HOPがだいぶキテて、でもそろそろピーク超えて落ち着きそうなんだよね。残念。でもまあせっかくなのでちょっとだけ諸々をご紹介。1人でも興味を持って触れてくれる人がいれば幸い。です。
HIP HOPってのはラップだけじゃなくてグラフィティ(いわゆるラクガキ)やブレイクダンス、DJプレイといった要素の包括的な文化なのですが、とりあえず今、中でも盛り上がっているのがフリースタイルバトル。フリースタイルってのはまあ即興でビートに乗せて言葉を運ぶ遊びですね。そこにバトル要素=互いに貶し合いを加えたのがフリースタイルバトルな訳です。特に有名なのはエミネム主演の自伝的映画8マイルでしょうかね。
この中で描かれるエミネムのフリースタイルバトルのシーンは鳥肌ものでした。ここで初めて世界的に「へえ、HIP HOPにはこんなバトル文化があるんだあ」と知らしめることになります。当初は当時すでに絶大なプロップスを得ていた彼のアイドル映画だろうと揶揄されてましたが、ふたを開けると超高評価、アカデミー音楽賞も納得の出来栄えでした。
この時期、日本でもフリースタイルバトルは一時期ブームになりました。特に90年代後半から、00年代前半。いまから10数年前ですね。B BOY PARKという毎年行われた全国最大規模のHIP HOPイベントのメインを張っていたのがMC BATTLE=フリースタイルバトルでした。
そのバトル立ち上げから3年連続優勝した絶対王者こそが、彼。KREVAです。HIP HOPアーティストとして史上初のソロ武道館公演を成功させるなど、多分日本で一番売れたヒップホッパーになりましたね。もともとはKick the can crewのメンバーでした。キックも今年から本格復活なのでこちらも楽しみです。
で。そこからまた下火になってアングラに潜り込んでしまいます。ヒップホップでメジャーなのはRIP SLYMEとか、あとm-flo、SOUL’d OUTくらいでしたかね。しかし文化は着実に根を張っていました。そして2010年代後半戦。ネットTVの隆盛に従い、地底で沸々と盛り上がっているコンテンツが拾い上げられる時代に入ったことから、再び日の目を浴びる刻がやってきました。
最近のRE:フリースタイルブームを巻き起こした立役者は2つ。まずは高校生RAP選手権。その名の通り、高校生がフリースタイルバトルを繰り広げるというストロングスタイルな内容です。彼らが生まれたのは先述のB BOY PARKが始まった頃なんですね。おそらくほとんどB BOY PARK時代の影響下にない全くの新世代ということになります。
さて、この選手権、実はもともとはスカパーの人気バラエティ=BAZOOKA TVの1コーナーでした。しかしいまや武道館を満員にする人気コンテンツになりましたね。高校生がマイク一つで互いをDISり合う姿、微笑ましさと熱さでなかなか悪くない。ダサさもまた泥臭さに感じてちょうどいい。
そうしてもう1つは、AbemaTV深夜枠でカリスマ的な人気番組になってる=フリースタイルダンジョン。こちらが現在のブームの真ん中でしょう。この番組は、モンスターと呼ばれる「フリースタイル巧者」を全員倒せば100万円!という参加型番組ですね。
モンスターはこの5人(現在はもう2人ほど増えましたが割愛)。
右端の般若がラスボスとして君臨するのですが彼はB BOY PARK時代の人気ラッパーでした。つまり旧世代なのですね。すでに同世代のラッパー(KREVA含む)がフリースタイルから退くなか、「ラスボス」の旗を掲げてステージに立つ勇気は凄まじいと思います。しかも、強い。やっぱし、年齢重ねると即興で言葉をやり取りするのはどうしても辛くなりますからね。
最年少はT-PABLOW。若干21歳です。彼は高校生ラップ選手権の初代王者ですね。川崎のガチ不良リーダー、高校生の時点で全身刺青だらけという”地上波に出ちゃいけない”感溢れる(でもめっちゃイケメン)人物です。ガタイもいいし怖いわ。でもそういう人をメインに据えちゃうのがネットTVの面白さですね。回を重ねるごとにどんどん上手くなる彼も番組の見所です。
もう1人、紹介しなければならないのは誰もが認める現役最強フリースタイルラッパー=R指定。いや、史上最強かな。B BOY PARKが終わったあと、UMBという全国最大のフリースタイルバトル大会が開催されたのですが、そこで3年連続優勝しています。KREVAの再来ってやつですね。ちなみに般若も彼が出場する前に優勝しています。
R指定が人気なのは、T-Pablowら「不良」からかけ離れた存在であること。モテない、イケてない=非リア感あふれる存在で、巧みなのに遊び心満載のネタをぶっこんでくるラッパーなのです。確実に、裾野を広げたといえますね。
そしてもう1つ、フリースタイルダンジョンの凄さは”緊張感”です。
写真の2人の対決は伝説回になったのですが、というのもこの2人、絶対共演NG(裁判沙汰…詳しくは漢 晋平太で検索!)だったのですが、お互い言いたいことぶつけようということでフリースタイルバトルしちゃったんです。
ベッキーとゲス川谷が口喧嘩する的なね(ちょっと違う)。見たいわそりゃ。見るわそりゃ。
他にも、般若が突然「おいKREVA、俺と勝負しろ」とカメラに向かって叫んだこともありました。これに対してKREVAは「出ません」と表明したのですが、うーん残念。見たかった。般若は同世代のラッパーらに挑戦状叩きつけて、まだまだ盛り上げたいと思ったんでしょうね。しかしすでにアーティストとして売れまくってるKREVAがここに出て、万が一負けたりなんかしたら…リスクも大きし、何よりKREVAはバトルから離れて随分経ちますからね。バトル勘を戻すのは日常から言葉を脳内で響かせないとキツイと言われています。でも見たかったぜ!
「…でもさ、どうせ全部台本でしょ?」
こう言いたいのはわかります。まあ実際、台本もきちんと存在するでしょうね。
T-Pablowが思わず相手の胸ぐらつかんだこともありました。やべえ、本当にキレちゃったの?いやエンターテイメントでしょう?じゃあどこまでが台本?どこまでが感情?つまりはこういうグレーゾーン=プロレス的エンタメを楽しもうぜ。ってことです。
こんな極上の体験を毎週させてくれたモンスターですが、ついに今シーズンで解散が決まりました。マンネリと、あと役割をある程度果たせた、という自覚からでしょうね。はてさて、次回は8月オンエア。どうなることやら。フリースタイルバトルダンジョン、目が離せません。
じゃあ最後に、モンスターらによるマイクリレーが光る楽曲=Monster Visionの歌詞の一部を載せて終わります。非不良系ラッパー=R指定による見事なVerseでした。
軽く殴っちまえば一発で終いの俺みたいなもん目の前に
お前は何をそんなビビってる? 何をそんなに恐れてる?
震えてんぞ足 泳いでんぞ目 潰れてんぞ声 落ち着けMy Men
変わった空気 呼ばれた名前 気がつきゃすでに汗ばんだ手
本音 強がり 弱音プラス生き様 神がかり
強くて弱い 弱くて強い そんな生身の人間だ I’m a monster
ps.般若は基本的に普段はふざけています。
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