どうもこんにちはー、最近寒くて起きれない日々が続いています。
えー今週から、普段アニメ記事を執筆しているしもみんと担当を交換して、アニメ記事を書いていくことになりました。
私らしいアニメ記事ってどうなるのかなーと考えた結果、とりあえず今回はこの作品を紹介したいと思います。
へうげもの
また戦国武将ものか!?もうお腹いっぱいだよ!!とお思いの方、こいつは一味違います!
さーーーっとスクロールしようとする人差し指をなだめて、まずは話を聞いてください!
原作は講談社の週刊モーニングで連載中の漫画。
山田芳裕・作、現在17巻まで出ており、なんと連載中にも関わらず文庫版が8巻(今月に9巻10巻が出るそうです)まで出ています。
タイトルは「へうげもの」ですが、読み方は「ひょうげもの」。ちなみに中国語タイトルでは「战国鬼才传(zha4n guo2 gui3 ca2i chua2n)」となっています。
ひょうげる、とはふざけたり、おどけたりする、という意味で、まさにタイトル通り色んな意味で「へうげた」奴が沢山出てくる話です。
さて、この作品、具体的にどのような物語かと言いますと…。
こちらの一言に尽きます。
こちらは第1話のタイトルなのですが、この作品を通してテーマはこの一言で表わすのが一番かなあと思います。
もったいつけやがって!と言う声がそろそろ聞えてきそうなので、もう少し詳しく説明します。
主人公は、あの織田信長に20年近く仕えている、古田佐介(後の古田織部)。
史実にもちゃんといる、戦国時代の文化人・古田織部の人生をなぞるこの物語。
佐介は武功とはほぼ無縁の、茶の湯と物欲に傾倒する”数寄者”。
武将として名をあげたいのだけど、どうしても物欲に負けてしまう位、その数寄は筋がね入り。
主君・信長が帝より賜った、香木「蘭麝待(らんじゃたい)」が羨ましくって仕方ない!
※ちなみにこの蘭麝待は、史実でもえらい価値のあるもので、聖徳太子の時代からあると言われているお香の原木です。
この香木は現在正倉院に保管されています。天下第一の香りだそうです。
一応武功はあげたいけど、肝心な場面で物欲が彼を襲います。
例えば第1話。
佐介は信長に命じられて、信長を幾度となく裏切った武将・松永久秀との戦で和平交渉をするため向かいます。
そして、和平の条件として、松永久秀が持つ名器・平蜘蛛を差し出すこと…を聞いて、思わず大興奮する佐介。
いやしかしそれではいかん!と彼は自分を制して、松永久秀の元へ。
こんな感じで交渉そっちのけで思わず感涙。
伝説の茶器を見れて感動しております。
しかし!!この後、同期で出世頭の秀吉がやってきて、何やらひと悶着あり…。
物欲のためだけに奔走する佐介の姿は、現代のオタクにも通じるものがあります。
さながら、欲しいもののために駅からダッシュする気持ちですね。
あまりの数寄ぶりを見て、佐介の欲は俺のを上回ったか…と信長を爆笑させる佐介。
物の為に命をかける佐介の暴走っぷりは必見。
そして、佐介が茶器や芸術的なものを評する時、独特な表現をします。
「はにゃあ」「ズドキュッ」「ガニッ」など、とにかく擬音が凄い(笑)
大阪人の道案内(「そこの角をシュッと曲がって、まっすぐビャーって行けばあるで」的なもの)を思い出す擬音表現は何故か納得してしまうもので、一つの見どころ。
この数寄者・佐介が、どうやって名をあげて、信長から秀吉、そして家康の時代を生き抜いたのか。
様々な数寄者とそうでない者との関係は想像以上に複雑で面白い。
いわば、オタクとオタクじゃない人とのやり取りです。
そしてなんといっても、この作品は明智光秀・豊臣秀吉・千利休の解釈が斬新。
信長暗殺の本能寺の変は驚きの描き方をされています。
で、佐介もかなり癖のある魅力的な人物ですが、他の登場人物も負けてません。
史実でもこちらの作品でも苦労の人・明智光秀。
佐介の茶の湯の師匠で、もう一人の主人公と言ってもいいくらいの扱いで、簡単には死にそうにないスーパー茶人・千利休。
想像以上に腹黒くて野心メラメラな後の天下人・豊臣(羽柴)秀吉。
良くも悪くも田舎者で、数寄を嫌う、我慢の末、天下を手に入れる・徳川家康。
なんか色んな意味でかぶいてる男・伊達政宗。(眼帯にD…)
なんか某ボクサーっぽい感じの男・福島正則。(実際声はモデルになった人ですw)
数寄が理解できない、感情も眉毛も乏しい男・石田三成。(眉毛はどこにいったのか)
千利休の弟子で数寄に取り憑かれた暴走野郎・細川忠興。(父とはプロレスのような喧嘩をしています)
このほかにも、個性的過ぎる武将がわんさかでてきます。
昨今の戦国物はイケメンぞろいでお腹いっぱい(といいつつ色んな戦国物に私はハマっていますが)と思っている人はもちろん。
何かのオタクであれば思わず引き込まれてしまう、登場人物たちのすさまじい「欲」は癖になる面白さ。
まあ癖が強すぎてリタイヤされる可能性はちょっとありますが…まずは1話を見ていただきたいなと思います。
そして何より、この作品、天下のえぬえいちけーで深夜放送していました。
わりと下ネタもおいろけも入るのですが、かなりギリギリまでやってくれました。
ていうかほぼ原作通りです。素晴らしい。
残念ながら原作に追いついてしまったので、ある程度キリのいいところで終わっていますが、全39話と、「なんかちょっとずつなら全部見れるかな…?」って感じる微妙な話数。
OP,EDは原作の妙なシュールでスタイリッシュさを損なわない仕上がり。
そしてジャズがなんだかマッチ。
見れば見るほど味がでてくる、そんな作品。
――戦国時代のオタクの生きざまをしかと見届けろッ!!
◎ゆずの甘口アニメ評価
「へうげもの」
オリジナリティ ★★★★★
ストーリー ★★★★★
シュールさ ★★★★★
文章:ゆず
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