【ガーマンソンの詩】無茶ブリ3行リレー劇場 最終話

 無茶ブリ3行リレー劇場ゲームルール:

①無茶ブられた人は、最低3行以上(出来る限り沢山書いて下さい)の小説を無茶ブリした人の話に引き続き書く。
(更新日は日曜日)
②無茶ブられた人は、その週の話に関連する写真を1枚小説と共に掲載する。
③無茶ブリの対象は、1回でも上海ゲーム部HPに投稿した事のある人を選ぶ。
④無茶ブリの対象は連続で同じ人物を指名してはならない。最低中2週開ける事。
⑤作風は人それぞれ自由。
⑥1作品、10話目で絶対に完結させなければならない。

最終話 【ガーマンソンの詩】

 

 

――それは、遥か昔の淡くおぼろげな記憶。

さる村の「贄ノ神」となるべく育てられた、幼き日の千鶴子。
心優しき両親や妹の蓮実の存在。恵まれた環境の中で、彼女は健やかな日々を送っていた。
贄ノ神の役割が何なのか知らず…

春。
その日は村の祭りの日。千鶴子は、ある少年と出会う。

祭りを抜け出し彼と共に訪れたのは、村全体を見渡せる高い丘。
少し強引で、優しい振る舞いを見せる少年は、彼女に将来の夢への憧憬を嬉々として語る。

夢中で聞き入る千鶴子。
春の香りが混じる大気の中で、彼女は高鳴る鼓動を感じていた。
「わたしも一緒に、連れて行って」
少年と約束を交わす。

そして中学生となることを迎えた年の誕生日。
同時にそれは、彼女が全てを失った悲劇の日。

千鶴子は贄ノ神に選ばれる。

贄ノ神の儀と同時に望まぬ契りを強いられた千鶴子。
大切なものが全て奪われ、幸せな日々はその日から灰へと変わる。

中学生活も終わりに差し掛かる頃、とある権力者に見初められ、三重へと嫁ぐことが決まった。
千鶴子には選択の余地すら許されず、少年に別れの挨拶も言えずに引っ越すことになった。

悲しみの淵の中、彼女が唯一抱く光は、少年と交わした約束。
彼女にできることはただ一つ、信じて、待ち続けることだけ。

夢見る少女に、至福の奇跡を――

――――――――――――――――――――――――――

……あの日から。

深い悲しみは癒えることなく、涙はいつまでも胸を濡らし、祈りは虚しく空へと消えた。
天を見上げ、目を閉じる。

少年との約束を信じ、苦しみに耐えながら生きてきた。
ありえないとわかっていても、奇蹟を、ただ、願った。
救ってほしかった。

――いつか、どこかで聞いた詩。

夢見る少女に、至福の奇跡を。
決意の心に、寛大な裁きを。

……もう一節が、記憶からすっぽりと抜け落ちている。

* * *

百葉箱の前。
どれほど、そうしていただろう。

胸打つ気配を背後に感じ、ふと、千鶴子は目を開ける。

振り返る間も与えずに、背後の気配が彼女の冷たい体を胸に抱く。
一面は桜吹雪に包まれ、全ては純白に飾られている。

ああ、そうだわ、と千鶴子は思い出す。
詩人の謳う最後の一節―― 

一途な想いに、真実の抱擁を。

ガーマンソンの詩。

少年は彼女を腕に抱き、ただ、一言。
それは時を超え、千鶴子をあらゆる悲しみから解き放つ福音の声。

――またせたね。

少年は、

何度も何度も、何度も何度も

ループのような幾千の死を重ね、その都度強くなっていった。
彼女との約束を果たすため。
夢の中では一体どれほどの時が経ったのだろう。

「遅れてごめん。中学の卒業式の時、本当は君に告白したかった」

「君が好きだ。」

「……わたしの夢……ようやく叶った……」

突如、彼女の身体から力が抜け落ちる。

既に遅かった。
彼女はガーマンソン中毒の末期症状により、もうこの世に存在していなかった。

彼女の強い思いが奇蹟を起こし、最後に夢の世界で再会を果たせた。
すべてはガーマンソンによる幻覚作用だった。

莫大な富よりも、絶大な権力よりも、ただその少年だけを彼女は望んだ。

祈る神などどこにもいない。
冷たく消えゆく命を前に、彼はただ、無力。
だから、この瞬間だけは、その声に応えよう。

「……また、会えるよね……?」

想い曲げ、悲しみこらえ笑顔を作る。
くしゃくしゃに歪んだ笑みを見て、満足そうにニッと笑うと、
千鶴子は静かに息絶え、光となって消えていった。

慟哭。

夢の世界に響く彼の声。
一滴のよどみなき純白の気持ちが、神の定めし理をも揺るがす。

真の奇跡は、強き想い持つ者だけに訪れる……

* * * * *

一つの物語が幕を引く。

少女と少年は、ようやく穏やかな日々を手にするのだが――それはまた、別の夢の世界での物語。

ガーマンソン画像

 

~fin~

 

 

 

メッセージ:

設定破綻しててもう無理…

 

文章:tsubasa

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