出版:マイアース・プロジェクト(日本)
デザイナー:横山一樹
プレイ人数:2~4人
プレイ時間:15~30分
ゲーム概要:
「タイムマシン」と「時空レーダー」が開発された近未来の世界。
古生物学者として2つのツールを駆使し、生きた恐竜の姿を撮影して学会に提出しましょう。
功績が認められれば昇進できますよ、目指せ教授!
こんにちは、ミズタニです。
台湾、中国と紹介したので、今回は日本のゲーム『パレオン』を紹介します。
4月1日ですが記事内容は本当です(ウソ発見器を頭に取りつけられながら)。
ゲームの紹介の前に、このゲームの出版社、合同会社マイアース・プロジェクトについてご紹介しておきます。
合同会社マイアース・プロジェクトは、慶應義塾大学の学内ビジネスコンテストで提案された「地球環境カードゲーム マイアース」を事業化するために、印刷大手の大日本印刷株式会社の出資を受けて設立された、という特異な背景を持つ会社です。
元々がただゲームを作ることを目的とした会社ではないので、マイアース出版のゲームはしばしばルールが洗練されていない印象を受けますが、教育性や学術性の高さが特徴的です。
このマイアース・プロジェクトが、地球環境をテーマにしたTCG(トレーディング・カード・ゲーム)『マイアース』、比較的低年齢向けのカードゲーム『たべちゃうぞ!!』に続いて出したのがこのパレオンです。
個人的に、「ボードゲームで教育を!」という考え方は大人のエゴが見え透いてあまり好きではないですが、マイアースのゲームは「本気度」が高くて好きです。
コンポーネント:
「プレイマット」が1枚、「タイムマシンカード」が4枚、そして「古生物カード」が40枚。
ゲームのメインはもちろん「古生物カード」。
タイムマシンカードは1人1枚ずつ配られる。
各プレイヤーのいる「時代」を表すのが役割。
開始時はみんな「現代」にいる。
こんな感じのカードが全40枚。
イラストと説明文を眺めているだけでも楽しい。
定価1500円+税のうち1000円分くらいはそれでペイするんちゃうかと思う。
ゲームに直接関係あるのは、星1から5まである「レア度」と、「古生代」「中生代」「新生代」の3種類がある時代の2つの指標だ。
ゲームはこのように、常にカードが中央に5枚伏せられた状態で進行する。
伏せられた5枚のカードは「場札」と呼ばれる。
残りのカードはその左側に重ねて置いて、山札とする。
ルール概要:
ゲームは各プレイヤーが順番に3つのフェイズを行うことで進行する。
過去に移動して古生物の資料を集め、現代に戻って学会に発表し、昇進するのが主な目的。
最初に「教授」になったプレイヤーが勝者となる。
3つのフェイズの流れは・・・
第1フェイズ―「レーダー」 or 「ピクチャー」
第2フェイズ―「ワープ」
第3フェイズ―「学会提出」 or 「発掘」
この他に「第0フェイズ」というのもあるがそれはまた後ほど。
第1フェイズ
「レーダー」か「ピクチャー」のどちらかを選択して行う。
レーダー―場札のうちの1枚を自分だけが見る。
ピクチャー―場札を1枚公開し、ピクチャーが成功か失敗か判定する。
公開した場札とプレイヤーがいる時代が同じであれば、ピクチャーは成功。
自分の「資料」として隠し持っておく。
公開した場札とプレイヤーがいる時代が異なっていた場合はピクチャー失敗で、ペナルティとして「資料」を1枚捨てなければならない。
第2フェイズ
任意の時代に「ワープ」することができる。
「古生代」「中生代」「新生代」のほか、「現代」に戻るのもこのフェイズに行う。
時代を移動したくなければ、行わなくてもよい。
第1フェイズで「レーダー」した古生物の時代に素直に飛んでいきたいところだが、そうすると他のプレイヤーに横取りで「ピクチャー」されてしまう可能性があるのが悩みどころ。
逆に、他のプレイヤーが「古生代」にワープしたなら、そのプレイヤーが直前で「レーダー」したカードは「古生代」の生物かも、と予想できる。
第3フェイズ
第3フェイズは、「現代」にいる場合のみ行える。
「学会提出」か「発掘」のどちらかを選択して行う。
発掘―資料を2枚捨て、「捨て札」を1枚獲得できる
学会提出―「学会」に資料を1枚提出できる(手元の資料が3枚以上必要)
学会に提出しただけでは、昇進することはできない。
開催される学会で成果を認められなければならないのだ。
学会が開催されるのは、「最初に資料を提出したプレイヤー」のターンが次に回ってきたときの「第0フェイズ」、つまり手番開始前だ。
この間に他のプレイヤーも学会提出を行う可能性がある。
学会が開催された時に、伏せられたカードを一斉にオープン。
最も「レア度」の高い資料を提出していたプレイヤーのみが昇進できる。
↑もっともレア度の高い資料を提出していたプレイヤーのみが昇進
「学生」から「研究員」「助教」「准教授」と昇進し、「教授」になることができたプレイヤーが勝者である。
なお、学会が開催された時に、最もレア度の高い資料を出していたプレイヤーが2人以上いた場合、昇進者はなんとじゃんけんで決める。
教授になるには運も必要なのである。
総括:
誰かがレーダーした資料を横取りしたり、それを見越してあえて違う時代にワープしたりといったブラフゲームの一種に分類できます。
全員がレア度5の資料を持っている場合なんかは、「核の抑止力」よろしくお互い牽制しあって結局誰も使えなかったりします。
ゲームのルールはよくできていると思いますが、ただ1つ、学会で最高レア度が競合した時の処理がじゃんけんというのはいただけません。
ゲームの対象が主に小学生くらいというのを考えるとそれでもいいのかもしれませんが、この重要な部分が単なる運で決まってしまうのはゲーマー的には致命的な欠点です。
そんなゲーマー向けに独自ルールを考案して、以前に1度だけやったことがあります。
以下に載せますので参考にどうぞ。
1.「ピクチャー」に成功したプレイヤーは「研究トークン」(各自ご用意ください)を1つ獲得する
2.学会提出時に手元の「研究トークン」を任意の数だけ併せて提出できる
3.学会での優劣は「レア度」と提出した「研究トークン」の合計で決める
4.競合した場合は手元に残った「研究トークン」が多いプレイヤーが昇進
5.それでも優劣を決めることができない場合は、先に学会に提出していたプレイヤーが昇進
なお、姉妹品で「ミスティクア」というゲームがあります。
ルールは同じで、カードが深海生物です。
「ダイオウイカ」や「ダイオウグソクムシ」が好きな方はこちらをどうぞ。
↑前に中国人とやったことあるけど、説明文が読めてこそのゲームかも
↑ティラノサウルスで貫録の教授昇進を決められた時の悔しさといったら
文章:T.Mizutani
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