この連載も三回目です。まだまだネタ有りますよ!(どんどんマニアックになっていきますが!)
とりあえずちょっとだけ用語解説を:
AT:オートマチックトランスミッション(いつものふつーのオートマです、エンジンのパワーを効率よく使うために複数の段数があります)
DCT:デュアルクラッチトランスミッション(マニュアルトランスミッションの伝達効率を追い求めたオートマです、構造上段数を増やすのが楽です)
CVT:無段変速機(段数という概念から解放され、究極の滑らかさを追い求めたオートマです、でも滑らかすぎてつまらないというわがままのためにオートマっぽく段数を模擬的に再現できます)
マニュアルモード付:オートマなのに、マニュアルトランスミッションみたいに自分で段数を選びたい!という本末転倒なわがままを叶えるためのおもちゃ機能です。AT、DCT、CVTどのタイプでもマニュアルモードを搭載できます。
それでは本編をどうぞ!
今回は中国人のトランスミッションに対する見方を紹介していこうと思います。
中国はご存知メンツの国ですから、とりあえずカタログスペックを追い求める傾向があります。
トランスミッションでもその傾向は顕著で、自分の車が一体何段変速かはステータスとして非常に大事な意味を持っています。
たとえば、現行モデルの中国仕様トヨタ・カムリ2000ccモデルは、マニュアルモード付4速ATですがアメリカやドイツ車はランクが下の車種でも6速ATや7速AT(DCT)等を搭載しているので、日本人はぼったくりだというパッシングの原因になっています。
また、平行軸歯車を採用したため最近まで2000ccオーバーのランクでも5速ATを使い続けたホンダも、数字重視の中国人には時代遅れの代物を使うメーカーというイメージがついてしまい、逆にCVTを大々的に宣伝した日産が中国で大躍進したことは記憶に新しいですね。
また、真っ先にZFの9速ATを搭載したJeepのチェロキーは、その9速を売りに中国全国で大々的にキャンペーンを行いました。実際の所、8速は130km以上で、9速目は150km以上出さないと入らないので、道交法を守って走ってる限りは7速ATと変わらないのですが、それでも9速という数字は偉大で、2400ccモデルで38万元からという強気の価格設定からも自信が見て取れます。(ベンツGLKが中国産ですが40万元からで買えます。)
そして、日本メーカーもこのままではダメだと感じたのでしょうか、中国仕様のトヨタ・カローラは、中国専用仕様として、CVTのマニュアルモードのシミュレート段数を7段から8段に増やしました。8という数字が中国で良い数字ですし、なによりカタログ上で競争相手のVWグループの7速DCTに勝てますからね!
昨年はそのVWグループ虎の子の7速DCTにリコールがかかり、数値よりも壊れにくい安定性重視にシフトするかと思われましたが、そんなことはなくトランスミッション多段化競争は進んでいきそうです。
まだまだトランスミッションの技術競争から目が離せそうにはありませんね!
それではまた次回お会いしましょう!
文章:こう
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