【惑星の涙、ホ-シェー最後の11日間】無茶ブリ3行リレー劇場 第七話

 

無茶ブリ3行リレー劇場ゲームルール:

①無茶ブられた人は、最低3行以上(出来る限り沢山書いて下さい)の小説を無茶ブリした人の話に引き続き書く。
(更新日は日曜日)
②無茶ブられた人は、その週の話に関連する写真を1枚小説と共に掲載する。
③無茶ブリの対象は、1回でも上海ゲーム部HPに投稿した事のある人を選ぶ。
④無茶ブリの対象は連続で同じ人物を指名してはならない。最低中2週開ける事。
⑤作風は人それぞれ自由です。(今回は出来るだけ注訳を入れながら)
⑥1作品、10話目で絶対に完結させなければならない。

第七話【第三の男】 

 

あと一時間の命だとわかっていても、私の思考は想像以上に冷静だった。

昔から顔に表情が出ない、と言われてたがあれでも結構いつも焦っていたりするのに、今日に限って頭は実にクリアで驚いている。

ヒロ・シンはそう言った私の性分もよく理解してくれていて、あとでこっそりフォローしてくれたものだ。

しかしその親友も今はもういない。

 

彼は殺された。

予言を打ち破るため、施設に侵入して警備兵に射殺された。

私の目の前で、彼は血の海に沈んだ。

立場上、私は警備兵どころか民にすら事実を話していない、故に彼を救うことができなかった。

それはヒロもわかっていたことだ。

しかし、果たしてそれが正解だったのだろうか?

何か他に手は打てたはずだ、私ならもっと上手く施設に入って実行できたはずではないのか?

ヒロを殺したのはまぎれもない、私だ。

虫の息となった彼の元へ側へ行った時、ヒロは私をしっかりと見据えてこう言った。

 

『これで、いいんだ…』

 

残った力を振り絞って、ヒロは笑った。

 

 

 

 

「…良い訳ないだろう、馬鹿者」

 

いつの間にか出た言葉は、シェルターの防音壁に吸い込まれて、響くことはなかった。

 

いつまでもじっとしているわけにはいかない、外では崩壊が進んでいる。

私が、私がなんとかしなければ。

この星を救うんだ…!

ぐっと拳を握り締めた。

と、そこで。

 

 

 

ガンガンガン!!

ガンガンガンガンガン!!

 

シェルターの扉を激しくノックする音が。

何故だ…このシェルターには人が来ないようにしているはず。

何かとんでもないことがまた起きたのだろうか?

私は念のため、懐剣を後ろ手に持ち分厚い扉に近づいた。

 

がちゃん。

ロックを解除し、ゆっくりと扉を押す。

そこには、見たことも無い男が立っていた。

男はずいぶんと大きい、無精髭が目立ち、彫りが深い顔立ちは、垂れ気味の二重瞼のせいで眠そうな印象を抱かせる。

後ろに撫で付けた髪は白髪交じりで、兵士だろうか体躯は筋骨隆々として何か覇気のようなものすら感じる。

だが、この男、明らかに異星人だ。

我々§〄✆➺の民は哺乳類である、しかし多くの生命体が存在するため、純粋な哺乳類は死んだ私の母が最期で、現在絶滅状態だ。

だからこそ王族はその中でも最も原種に近いため王族なのだが、私の髪は赤と白が横じまになっているように見える。

これは父方がTENGAの血を引いているからである。

異種族間での交配が可能な文明を得てしまったが故の結果だ。

 

しかしどうだろう、この男は私の記憶が間違っていなければその特徴は哺乳類そのものではないか。

私が知らない原種がまだ存在していたというのだろうか?

私は生唾を飲み込んだ。

すると、男はその固く閉ざしていた口をようやく開いた。

 

「ぐま! ぐ〜  ぐまぐま ま?」

「あ、え…」

 

…共通語で挨拶された。

動揺のあまり、私は情けない声しか出てこない。

 

「…あれ、通じないのか…まさか共通語も滅んだっていうのか」

 

男は不思議そうに後ろ頭を掻く。

しかしその言葉は共通語ではなく、古代ホーシェー語である。

古代ホーシェー語は現在使われていない言語で、それが使えるのは原種の血を引く母から教わった私だけだ。

…疑いは確信へと変わった。

この男は間違いない、原種だ!

 

「いや、通じている。済まない、動揺のあまり言葉を返せなかった」

「おお、良かった。急に済まないな、驚かせちまったか」

「すまないが、貴方は原種だろうか?」

「ゲンシュ? ああ、オレか? そうだな、お前らが言う原種ってのだ、オレは。ていうかお前さん、オレの言葉わかってたな、王族か何かか?」

「ああ、王族だ」

 

ふうんと男は言い、私の顔をまじまじと見た。

 

「それで、貴方は一体何をしにここへ? 見ての通り、この星はもうすぐ滅び行く。ハイキングに来たわけじゃないだろう」

「そうさなあ、初対面の男が言うことだから信じてもらえんかもしれんが、この星を救いにきた」

「…救いに、きた?」

「そうだ」

 

私は男の言葉を何度も頭の中で反芻した。

この星を救いに来た、一体どういう意味だ。

男は、私と友人しか知らなかった現状を把握しているというのか?

 

「貴方は、い、一体どこまでこの星の現状を理解している?!」

「まあ…あと2日もしないうちに滅びるってことと、裏切り者はまだ生きているってことだな」

「2日!? 何を言っているんだ! あと一時間もしないうちにこの星は滅びるんだぞ? それに裏切り者って…」

 

そこまでまくし立てたところで、男は右手で私を制した。

眠たそうな二重瞼はいつの間にか凛々しく、真剣な眼差しへと変わっていた。

 

「何かお前さん、勘違いしているみたいだな。その様子だと、どうやらあいつにすっかり騙されちまってるようだ」

「だから、わかるように説明してくれ。さっきから貴方が言っている言葉の意味がわかrなあい!」

「時間もない、簡潔に結論から述べる」

 

男はシェルターの中へ入り、私に扉を閉めるように指示した。

何も無い金属の床にどっかりと胡坐をかくと、男は言った。

 

「ひとつ、この星はあと2日で滅びる。

 ふたつ、この星にクカキソクウイカトツセウョシウョギンサノコヨダンナクトレダから来た工作員が来た。

 みっつ、その工作員はヒロ・シンと名乗っている」

 

頭の中が真っ白になった。

ヒロが…クカキソクウイカトツセウョシウョギンサノコヨダンナクトレダの工作員…?

どういう、ことなんだ…。

だって、あいつは、私の友人で、目の前で死んだはず…。

 

「ヒロは、ヒロは死んだ!」

「それが嘘だって言ってるんだよ」

「じゃあ彼が工作員だという説明は!? あいつは間違いなくこの星の民だ!」

「簡単なことだ、擬態装置を使っている。あーそうだ、お前が言う原種という種族はな、クカキソクウイカトツセウョシウョギンサノコヨダンナクトレダ…まあ母国語じゃ”テラ”では”ヒト”って言う。あいつに会ったなら知っているだろうがオレたちヒトは、この星を実験用に作り上げた」

「ペラパンダの自浄作用を見るため…?」

「いや、違う」

「違うだと!?」

「この実験は、異種族交配の可能性を検証するためなんだよ、お前さんたちの存在は。そのために通常じゃ考えられない環境配置、異様な生命体の存在…お前さんは疑問に思ったことがないのか? 自分の星が異様な場所だと」

「…」

 

そんなこと考えたことも無かった。

昼の方が長く、特殊な膜に覆われた惑星。

様々な種族が存在しているが、戦争もない。

 

「まあ思わないよな、それが普通だったんだからよ。…で、だ。ヒトはこの星を使って、異種族交配の可能性実験に成功した。そしてある結論に到った、…この実験は成功だったってな」

「成功…」

「そもそもこんな実験をする理由にはヒトが絶滅の危機にあるからなんだがな、それを回避するために異種族交配の実験を始めたんだ」

「生き延びるため…?」

「その通り。そんでもって、第二フェイズとして次は遺伝子回収になるわけだ。回収するのはなるべくヒトの姿を保つことが出来た種族だけ。ところがどっこい、ここで邪魔が入った。ある研究員は異種族交配に反対して、この星を滅ぼすとか言い出した」

「まさか…」

 

私は身を乗り出した。

 

「そうだ、それがヒロ・シンだ」

「奴はいつのまにかこの星へ侵入して、お前さんに近づいた。なぜならお前さんはヒトに最も近く、この星を統べるという運命を持っていたからな。そのお前さんに『星が滅ぶ』という話を持ちかけて、一見星を共に救うとか言いつつ、実は裏でこの星を滅ぼそうとしている張本人だったってわけだ」

「何故だ! それなら話がおかしいじゃないか、だってペラパンダを殺したら自然現象は起こらなかったんだ!」

「おいおい、そもそもあいつがどんな予言をしたか覚えているのか?」

「ああ、覚えている。

1日目は火山の噴火。

2日目は地震。

3日目は世界的なブリザード。

4日目は太陽フレアによるデリンジャー現象。

5日目は

6日目は何も起きなかった。

7日目は隕石が落下する。

8日目は隕石に紛れ込んだ未登録の惑星外生命体が襲い掛かってくる

9日目はこれの殲滅に成功するが、軍が処理を誤り、

惑星外生命体の体内に存在した致死性の寄生ウィルスがこの国に蔓延する。

10日目はウィルスが他の大陸に漏れズォグオズオ大陸のゲルに接触したウィルスが新種のウィルスに進化し、感染スピードが8800倍、どんな物体をも侵食する性質を持ち、

この星はウィルスに犯され生物は生息不能となる。

急遽行われたログミローンの知的生命中央会議にて§〄✆➺✺の蔓延したウィルスは宇宙全体の脅威となると判断し§〄✆➺✺そのものの破壊を決定。

11日目、先の命令が実行され§〄✆➺✺は無くなった」

 

我ながらよく覚えていたと思う。

しかし、男はふうとため息をついた。

 

「だからそれがおかしいだろ? だって、火山の噴火は結局今日起きた。一日目に起きるはずだったのによ」

「あ…」

「だからあいつの言ってることは何一つ当てにならないんだ」

「うう、そんな…」

 

頭の中がぐちゃぐちゃになり、私は泣きそうな気持ちを堪えた。

ヒロの裏切りだけじゃない、まさか、実験されていたのは自分だったなんて。

私の人生は一体なんだったんだ、存在する意味なんて、ましてやこの星を統べるなんて、何も意味がなかったんだ。

 

「そんな顔すんなよ、まだ滅ぶって決まった訳じゃない」

「でも、私は…」

「しっかりしてくれよ王様、たった一つだけ真実があるとしたら、この星を救えるのは確かにお前さんだけなんだからな。あいつは今、あらゆるところで惑星を破壊しているだろう、惑星を理解しているお前さんなら破壊された場所もなんとかできるんだろう?」

 

正直、心が折れてしまった私は、本当は逃げ出してしまいたい気持ちで一杯だった。

考えることをやめたい、そう思った。

でも私は自然と立ち上がっていた。

どう考えても私に未来が無いということはわかっているのに。

例えヒロを止めることができたとしても、この星が実験のための惑星だと知った以上、私の命はおそらく狙われるだろう。

それでも私はこの星を救いたい。

 

「わかった、なんとかやってみよう。どこまでやれるかわからないが、私の星を、民を、生物を、全てを守ってみせる」

「いい顔してるぜ、今のお前さん」

 

男はそう言ってやわらかく微笑んだ。

この男も本当は嘘をついているかもしれない、私を殺しにきたのかもしれない。

結局のところ、私の決意も実験のうちかもしれない。

しかし、やはり何かにすがるしか今の私には道が無いのだ。

 

「そういえば、貴方の名前を聞いていなかった」

「ああ、そうだったな、これは失礼」

 

本当に忘れていたらしい。

男もそこでようやく立ち上がり、私よりはるかに高いところから目線を遣り、そして名乗った。

 

「オレはジャニィ・オギシバ、よろしくな」

「私はリー・ジョン・ユウコウだ、改めてよろしく頼む」

 

そう言って、私達は握手を交わした。

私は、必ずヒロを止めてみせる。

そして、この星も救う。

 

 

 

========⇒ to be contenewed…

 

ターン:【ヤス】さんを指名します。 
メッセージ:なんとかテコ入れしました、お願いします・・・(バタッ

 

参考、画像*wikipedia「シェルター

 

文章:ゆず

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