「シルバー事件」とやら。
1999年10月発売。プレイステーション。アドベンチャーゲーム。
グラスホッパーマニファクチュア。須田剛一。アーカイブスで600円。
俺が最初に「うわあああああ!」となったゲーム。中学生。
何が「うわああああああ!」かというと、わっけが分からないから。
電波シナリオ、電波台詞。電波キャラ。だけど、超絶かっこいい。なぜなら、中2病だったから。
ストーリーは複雑奇っ怪。
シルバー事件という謎の事件。その犯人であるカムイ。人智を超えた存在。伝染する悪意(カムイシンドローム)。
先鋭的に対立する政党・信条。アイデンティティ。
様々な要素が混ざって、「わけのわからない」真実へと突き落とされていく。到底理解できない、信じられないくだらない意地の悪い真実に。
フィルムウインドウというシステム。「台詞」「プレイ画面」「顔写真」が独立したウインドウとなっている。
そして雰囲気に合わせてその演出や縁取りや配置が変化。くすぐられる…。
テキスト主体なのに、選択肢はほとんどなし。
唯一のゲーム性ともいえる暗号入力は説明書に答えが書いている始末。
つまるところ、こいつはゲームじゃない。
デジタルバンドシネとか。あるいはフラッシュアニメとか。そっち。没入感を出す為、操作介入出来るのみ。
でも、ボリューミー。600円。割に合う。荒いポリゴンとクールなビジュアルが吐きそうでたまらない。
打ちっぱなしの狭い自室にビリヤード台、その上にデスクトップPCを設置するセンス。
思い出したのは、ケイゾク。
未だにカリスマ的人気を誇るTBSドラマ。
1999年1月スタート。
中谷美紀と渡部篤郎演じる刑事の物語。
後味の悪い事件。過剰な演出。アサクラという人智を超えた悪意。アイデンティティ。
この辺りの要素が絡まって、最終回へ向け一気に「奇っ怪」なドラマへと突き進む。
だけど、最終回ぎりぎりまでその「奇っ怪」さをひそめてひそめて匂わせていただけだったので、なにより主演二人がよすぎた為、
評価がぶち上がる。
だけど、そんな最終回を通り過ぎた映画版なんて後半ただの実験映画。そのくらい前衛的に。
そんで続くケイゾクシリーズ、SPEC。
2010年10月スタート。
こっちはもっと顕著。ケイゾクのサスペンス要素は宇宙の彼方へ、スペックはただの超能力バトルに。
映画版はもう遣り過ぎて、スベリまくり。
ファティマ第三の予言。カイナ。新人類。ガイアの意思。天地反転の向井理と大島優子。ついに概念と化した戸田恵梨香。気合いで時空を超える加瀬亮。
無理だ。
一放送局のバジェットと技術でどうにか出来る問題じゃない。
じゃあ、どうしてシルバー事件とケイゾクはよかったのか。
それって、描ききれなかった(きらなかった)ことがすっごく重要だと思う。
だってこんな「雰囲気重視」のテーマなんて、まともに正面から描けば白けるに決まっている。
不気味の谷現象と同じ。
プレイステーションという限界、ドラマ1クールという限界。
最新ハードでシルバー事件をやらされるのは、映画版SPECくらい苦痛なはず。知って知らずか限界によって守られた。否、知っていただろう。
現にシルバー事件の続編である「花と雨と太陽と」は、プレイステーション2でありながら荒いポリゴンのままであった。
そう、中2病要素は、チラ見せだからイイ!のだ。
そのうち続く。
文章:TOKI
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