セガガガとやら。
2001年3月発売。ドリームキャスト。もちろんパブリッシャーはセガ。
ドリキャスが市場から姿を消す一年前。セガ、最後のドリーム。夢破れし、セガ。好きだぞ、セガ。
時はセガ末期。このタイミングでしか出得なかった、大問題作。
徹底的な自虐描写。
そして負け惜しみと皮肉と憎悪と敬愛がぐちゃぐちゃに混じった敵対企業のパロディ。
この2ポイントが見所である。
主人公。セガの新入社員。
・・・が、実は「とあるプロジェクト」遂行のため選ばれた男女なのだ。
舞台は近未来。
2025年のお話である。さて、とあるプロジェクトとは…
ゲーム市場を占めるセガのシェア率。
いまや激しいゲーム市場争いは終焉を迎え、セガともう一社を残すのみとなった。
2001年のドリームキャスト大躍進(現実と真逆だ)も、それから20数年。
現在のセガの最初のシェア率は3%。つまり97%が敵会社に占められているのだ。
そう、このシェア率を100%にすることがプロジェクト内容である。
…へえ…はあああ?!!!
頑張れば、いや、そこまで頑張らなくてもここまで伸びる。いろんな手を使って。
ちなみにグラフの赤(つまり敵会社)は…
悪魔教徒ではない。
犯罪秘密結社でもない。
ここはドグマ社。
パロディ元は任天堂+ソニーといったところ。えげつない手をつかって世界征服一歩手前まで来ているらしい。
いや、ゲーム市場の話じゃなかったのか。
ゲームの流れは、
開発スタッフを仲間にする→ゲーム開発する→発売、シェアをのばす→資金をゲット、仲間を増やす
の繰り返し。
上記は、スタッフを仲間にしている最中。
…うん、どうみても戦闘だねえ。
スタッフは、魔境と化した開発現場の毒気に冒され、既にモンスター化。
そいつらを主人公は「心に刺さる言霊」(つうか悪口)を投げつけて倒し、仲間にするのだ。
…自分でいっていて、やはりこのゲームは狂っていると改めて思った。
相手だって、悪口で応戦。
ひ、ひどい!
仲間にするには、ギャラ交渉が必要だ。
能力の高いスタッフはギャラが高い。
なるべくギャラを抑えて仲間にしなければ、予算オーバーとなり、ゲームが完成しないのだ。
…しかし月5500円って…なんてブラック…
開発。開発。また開発。
ノイローゼとなり暴れ、出て行くスタッフも。鬱になり、働けなくなるスタッフも。
YES、自虐のロンド。
完成するゲームはだいたいなんか見たことある。
イース?
ポケモン?
愛を感じられる(言い訳)から、訴えてあげないでね。
「RPG」というワードが出るたび、強調してくる。
かんっぜんに皮肉だろ。
セガバンダイになりかけて、けどバンダイはたまごっちが売れて、結果、反故になった腹いせなのか。そうなのか。
かびた梅干し。
かーびいた。
…カービィ…?
ちなみに、ドグマ社の刺客でござあ。
アレックスキッド。嘆く。
…いやしかし、やはりセガったらキャラが弱い弱い…。
さて、セガガガはシェア100%となった後、とんでもない展開を見せる。
ドグマ社を滅ぼした先に待っていたのは、人類の進化と宇宙に織りなす巨大なエネルギー体の存在。
そいつらが思念体となり、地球を、主人公を襲う。
それも、敵に最もダメージを与える方法で。
そんなラストバトル。
飛び込んでくるのは、突如始まったシューティング画面。
それはもはや、些細なことだ。
大事なのは、ラスボスが”何なのか”であった。
…?!
そう。
ラスボスは、セガの歴代ハード。
つまり、ここまでパロディ全開で行われた
「夢破れたセガの腹いせ」
に思えたこのゲームはその実、
かつて暴れ昇る龍と讃えられたセガへのレクイエムだったのだ。
セガサターン。
メガドライブ、古くは、SG-1000から続くハードの系譜は、こいつを経て、
そしてセガガガを動かすドリームキャストへと歩んできた。
セガは、確かに挑戦をし続けた。
しかし、挑戦とは一流企業にとって必須事項に過ぎない。
セガが愛されたのは、失敗の”可愛さ”によるところがやっぱり大きい。
「時代を先取りしすぎた」と一部で称されるが、要は、ニーズを読み間違えたのである。
敗戦は、敗戦だ。
セガガガで妄想にいくら耽っても、
もうセガハードの撤退は目前(大量在庫処理のため本体の値段も10000円を切っていた)。
自虐的に笑うことでせめてエンターテイメント企業としての矜持を誇っても、
現実には莫大な赤字と、リストラと。とにかく傷だらけなのだ。
だから、ここで終わらせなければ。
レクイエムを奏でなければ。
そうして、セガファン含むユーザーは、
自らの手で、SG1000を、メガドライブを、セガサターンを…。
…さよなら。
The Birthday。さよなら最終兵器。2012年。
https://www.youtube.com/watch?v=6BgRptnS634
ピラニア、サーカス食いついたまま
夜明けの生きたビートを鳴らす
ちっちゃな花束お前に贈るよ
永遠の階段、踏み外せばいい
風の無い街、吹き抜けたのは
ダークブルーの静かな決断
生身だけで生きていれば、もう何もかもいらなくなる
ヴィーナス、タンゴステップをやみくもに踏み出せ
ぼんやりだけど明日が見えた気がするんだ
海が見たいね、アンドロイドが
ハツカネズミに話しかけてた
俺もそう思ってた、そんな気分さ
生身だけで生きていれば、それが全て、代わりは無い
ヴィーナス、タンゴステップをやみくもに踏み出せ
ぼんやりだけど明日が見えた気がするんだ
お前に会えて良かったよ心底
訳聞かれても答えらんないけど
いつかきっとわかるんだろうね
愛ってやつは自分勝手でどうしようもない俺たちだって
ヴィーナス、タンゴステップをやみくもに踏み出せ
ぼんやりだけど未来が見えた気がするんだ
さよなら、最終兵器
以上。前に進む為に。
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