師走っていうだけあって今月は鬼のように忙しい…。
1年があっという間すぎて物思いにふける時間もないように感じます。
で、今回はアブノーマルな作品をドドンと3つご紹介しましょう。
アブノーマルっていうか、変態とか、変な設定とか、変態の出てくる作品ですね。
まあ言いたいことはいろいろあるかもしれませんが、とりあえず読んでみてくれ!
秘密の新撰組
著者:三宅乱丈 太田出版/Fx COMICS
全4巻
驚天動地! 新選組の歴史が変わる!? ××××のせいで。
新選組には秘密があった。男の中に眠るホールモーンが目を覚まし、男の乳首を乳房にしてしまうという秘密の薬。
その薬を飲んでしまった新選組幹部の大騒動!!
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以前紹介した『ぶっせん』や『イムリ』で有名な三宅乱丈の作品。
諸事情により4巻の表紙を持ってきていますw
ざっくり言うと、密偵用に使っていたホルモン剤を、局長の近藤が遊び心で幹部に飲ませたら、皆胸が女性化して元に戻らなくなっちゃった!という話。
もうなんか設定だけでもぶっとんでるのですが、このほーるもーんのせいで、薬を飲んで女体化してしまった隊長たちがどんどんおかしくなるんですねー。
ああ、腐女子の皆さんはあまり期待しない方がいいです。
この方の絵柄では萌えはありませんw(褒め言葉)
特に沖田(現存している肖像画を元にしたヒラメ顔)への扱いのひどさは、ある意味昨今の『美化された新撰組』への反骨精神すらも感じられるような気がします。
そしてこの作品、妙にリアリティを感じるのです…。
男と女の狭間で悩む人、男のまま奥さんと共に歩む人、女のような心が芽生えてしまって病んでいく人…。
体と心のバランスがとれずに悩む男たちの姿はなんだか泥臭くて生々しい。
それをしかも新撰組でやっちゃうのがこの方のすごいところでもあるのですが…。
この設定でかの有名な池田屋事件やなんやら大事な事件がどんどん進んでいくので、「え、これでどうなっちゃうの…」となんだかんだ言って先が気になってしまう展開。
これだけとんでも設定なのですが、この作品舐めてると最後に痛い目に合います。
時代考証、歴史考察、実はちゃんとこの設定に沿っていて予想外に忠実なのです。
だから皆死んだり、離脱したりと、特に最終巻が本当にせつない。
うっかり荒唐無稽な設定を忘れそうになるほどシリアスなのですが、ラストシーンの土方の色気とセリフできっちりとオチがついたように感じるくらい鮮やかに描き切られています。
ここで紹介する作品としては、(倫理的に)ぎりぎりセーフな作品。
とにかく確実に万人向けじゃないです。はい、心して読んでください。
そこはぼくらの問題ですから
著者:林明日香 太田出版/Fx COMICS
全1巻
美形変態VS女子高生!? 愛と苦悩に満ちた爆走ハイテンション・ラブコメディ!!!!! なぜか変態に愛されてしまうせいで受難の日々を送ってきた女子高生・ヤエコ。平穏な日々を送ろうと頑張っていたのに…超絶美形青年・六朗を変質者と間違えケガさせたことから、彼と同居し世話をするハメに。しかも、この六朗こそがロリコンの変態だった!? ドS、ロリコン、ショタコン…度を越した変態だらけの生活で、ヤエコは無事生き残れるのか。
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幼いころから変質者(年々グレードアップ)に好かれる体質のヒロインが、とあるきっかけでロリコンのイケメンと一緒に住むことになるラブコメ。
とにかくヒロインが不憫でならない環境。
刃物好きで同性愛者な友人、美少年を崇拝するショタコン美女、そして公園で幼女を眺める真性ロリコンのイケメン…。
なんだろう、涙が出てきてしまう。
こちらはギャグとしてバイオレンスな表現がモリモリでハイテンション、そっちの意味でぶっとんだ作品ですが、時々少しだけシリアスにもなります。
これだけでは周りが悪いように見える話ですが、むしろ一人暴走するヒロインがどたばたと焦り走り回る姿がメインのような気がしますね。
ものすごく面白い!というわけではなかったのですが、とにかくある意味表紙と中身が一致しちゃった作品なので紹介したいなとw
ドントクライ、ガール
著者:ヤマシタトモコ リブレ出版/ZERO COMICS
全1巻
親の不手際で知人宅に居候することになった悲劇の少女・たえ子。
そしてピンポン鳴らすと真っ裸でドアを開けた裸族の男・升田。
清純な女子高生相手に、裸でお出迎え…? まさに衝撃の初対面。たえ子が17年間積み上げてきた価値観が、グラグラと音を立てる。これって現実?
わたし、今、正気?
泣いていても始まらない、爆笑青春ストーリー。
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こちらもヒロインが可哀想なラブコメ作品。
漫画なので色はありませんが、とにかく肌色率が高い、ていうか全裸。
とにかく服を着ていると苦痛でしかたないらしい升田と、それをなんとかして阻止したいたえ子のやりとりが面白い。
恐ろしいことに、この裸族よりはるか上をいく変態が作中出てきます。
升田の友人・陣内。なんといってもただただ下品な男。
セリフにモザイクが入ってるの、初めて見ました。
セクハラの次元を超えたすごい奴です。
こいつに比べれば裸族が可愛く見えてくるから不思議w
そしてこの変態2名はいずれも美形。
だからこそ「なんで!?」と自分の価値観をガラガラと崩されていくたえ子が不憫。
そして面白いのが、パニックに陥るたえ子や自分の脳内の妄想をつらつらと語る長いセリフ。
吹き出しいっぱいに書かれた言葉は、なぜか疾走感が半端ない。
あとしょっぱなから爆笑したのが、家に入ったとたん、「動線に置いた障害物が股間を隠す」気遣い。
計算されているらしいけど、なんだよそれ、ずるいわwww
お色気作品でよくある現象をあえて口に出すメタ発言みたいなものですね。
この作品に関しては、男性が読んでも面白い作品になっていると思います。
とにかくくだらない、でもテンポとセリフ回しが秀逸。
ちなみに同時収録されている短編はこっちと違ってかなりシリアスです。
とにかく是非読んでいただきたい1冊です。
文章:ゆず
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