【アメコミ読もうぜ!】Vol.1 ”the killing joke” by TOKI

 

killing joke2

 

 

バットマン。

アメコミ史上に輝く金字塔。

 

アメコミの仕組みってのは日本の漫画とちょっと違って、キャラクターの権利は出版社(バットマンの場合、DCコミックス)が持ってるのよね。

そんで、色んなクリエイターがそれを借りて、物語を描く。

色々サーガがあるけれども、基本的にクリエイターごとに別次元として扱っております。

 

バットマンは特に豊富で、そのなかでもアランムーアフランクミラーは80年代後半にアメコミに大革命を起こしました。

 

アメコミは70年代から80年代にかけて、ほんとに落ち目。

まあそりゃあ、戦時に出来た単純な勧善懲悪モノだし…。ちょうどアメリカンニューシネマが華開いたころですね。

ヒーローをヒーローとして成立させるにはちょいと複雑すぎる時代になってしまったのです。

そこで彼らは、アメコミヒーロー像を再構築し、冷戦中(三次大戦にびくついていたアメリカ社会)の空気に耐えうるストーリーを目指しました。

 

それがアランムーアの”Watch man”と、フランクミラーの”Dark Knight Returns”。

 

重厚なストーリーと、色々背負ったキャラクター像、そして自己批判的な英雄の佇まいなど、ほんとにここからアメコミが変わった。

そしてアメコミは再び人気を高め、ゼロ年代へと突入します。

いまやアメコミは映画に飛び出し、今年の世界興行収入トップ1・2はアメコミ原作で占めましたね(日本はアナ雪)。

 

さて、今回紹介するのはアランムーアによるバットマン。

 

”the killing joke”

 

1988年。

先述の”Watch man”に至る重要な一作で、バットマンを語るには外せない。

わずか50ページにも満たない短編で、しかしただただ濃厚。

前後関係もなく独立しているので(他作品の知識もほぼ不要)、これから始めるのがいいと思います。

 

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宿敵・ジョーカーが今作ヴィラン(悪役)。

バットマンどころか、もはやアメコミ全体におけるトップスターとなった彼の誕生潭であり、バットマンとの不安定な関係性を描いた奇作。

 

アランムーア

 

 

ちなみにアランムーアはこんなおじさん。

世捨て人感ぱない。デカダンを地でいく超人。

補足すると彼はアメコミヒーロー批判をずっとやってる感じ。

彼の傑作といわれる長編”Watch man”が顕著だけど、ひとまずこっちをオススメ。

 

ダーク内と

 

 

ちなみに全米で大ヒットした実写映画、ダークナイトの元ネタにもなっている。

プロットは全然違うけど、

「人類を試すエゲツナくも魅力的な悪魔」というキャラ造形がね。

 

はて、”the killing joke”のストーリーはこんな感じ。

 

「アーカムアサイラム(精神病患者収容所)から抜け出し、バットマンの理解者ゴードンの娘を陵辱したジョーカー。

ゴードンもまた監禁され、娘が泣き叫ぶ写真を見せつける。果たしてゴードンは正気を保てるのか?そしてバットマンとの勝負の行方は?」

 

ま、ここは適当に。

重要なのはコミックに流れる雰囲気なのです。

 

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いちいち台詞回しからアートワークからマジでいかれてて…かっこいい。

 

きリング ジョーカー

 

クライマックス。

遂に対峙するバットマンとジョーカー。

狂った世の中は狂うことでしか笑えないとするジョーカー。

希望が強さになると諭すバットマン。

 

やがて決着を迎えるが、なんと互いにトドメを刺す気にもなれない。

 

ジョーカーの懐から取り出した拳銃は玩具だし、バットマンもジョーカーの話をじっくり聞いている。

二人は戯れて、戯れて…そして雨の中、静かにジョーカーは語りだす。

それはジョーカー渾身のギャグ。

そう、キリング・ジョークとして。

 

 

‘See, there were these two guys in a lunatic asylum 
 とある精神病院に二人の男がいた

and one night… one night they decide they’re going to escape! 
 ある晩、二人はもうこんな場所にはいられないと腹をくくった 脱走することにしたんだ

So like they get up on to the roof, and there, just across the narrow gap, 
 それで屋上に登ってみると、狭い隙間のすぐ向こうが隣の建物で……

they see the rooftops of the town, stretching away in moonlight… stretching away to freedom.’
 さらに向こうには、月光に照らされた夜の街が広がっていた……自由の世界だ!

‘Now the first guy he jumps right across with no problem. But his friend, his friend daren’t make the leap.
 で、最初の奴は難なく飛んで隣の建物に移った。だが、もう一人の奴はどうしても跳べなかった。

Y’see he’s afraid of falling…
 そうとも……落ちるのが怖かったんだ

So then the first guy has an idea. 
 その時最初の奴がヒラメいた。

He says “Hey! I have my flash light with me. I will shine it across the gap between the buildings. You can walk across the beam and join me.”
 奴ぁ言った「おい、俺は懐中電灯を持ってる! この光で橋を架けてやるから、歩いて渡って来い!」

But the second guy just shakes his head. He says… 
 だが二人目の奴ぁ首を横に振って……怒鳴り返した

he says, “What do you think I am, crazy?”
「てめぇ、オレがイカれてるとでも思ってんのか!」

“You would turn it off when I was half way across.”
「どうせ、途中でスイッチ切っちまうつもりだろ!」

 

ジョーカー げらげら

 

 

 

ジョーカーは自分で吹き出してしまい、雨で顔がくしゃくしゃになる。

 

…さて、バットマンの反応は。

 

続きは、買ってください笑

 

とにもかくにも、アメコミ歴史におけるターニングポイント。

バットマン=なんか暗い、はここから。

要は今ではベタになりつつある”ペーソスたっぷりのヒーロー像”或は”ヒーローもまたヴィラン(悪役)”といった構図の走りかも。

 

ぜひ。

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