【Novel】【ネコさんとバオ】♯02:なぞなぞアロハの奇妙な事件
Riddle-themed(loop?)Fiction:Neko3&Bao
♯02 なぞなぞアロハの奇妙な事件
<登場人物(?)紹介>
ネコさん :しゃべる猫。うまい棒が好き。箱に住んでる。かしこい。
バオ :ぶかぶかの白衣を着た少女。ゲーマー。眼鏡。かわいい。
◇
天気のよい日の午後三時。
ネコさんはいつものように
縁側でうまい棒(サラミ味)を食べていました(彼はとても器用なのです)。
どたどたどた…
そこにどうみても大きめの白衣に身を包んだ少女が走ってきました。
…嵐の予感でした。
バオ :「ピンクのあろは!」
ネコさん :「…(ぱりぱり)。」
バオ :「しかも、暗そうで目つきの悪いおっちゃん!」
ネコさん :「(モグモグ…ごくん。)?」
バオ :「派手なピンクのアロハ着た暗そうなおっちゃんだよ!!」
ネコさん :「(もう、うるさいなあ…)ん?何のことだい?バオ。」
バオ :「だーかーらー、最近出るっていう”なぞなぞアロハ”の話!」
ネコさん :「ああ、あれね。駅裏の路地に座って、
誰も解けないくらい難しいなぞなぞを
出しているっていう変わったホームレスの方だっけ?
世の中には変な方もいるよね…。」
バオ :「(遮って)でもね、消えちゃったの!」
ネコさん :「え?」
バオ :「だからー、おっちゃんが消えちゃったの!」
ネコさん :「ええ?な、何のことだい?バオ。」
バオ :「おっちゃん、おっちゃんが!おっちゃんがぁぁぁぁ。(泣きだす)」
ネコさん :「(あたふた)え、ええ、落ち着いて、バオ。
ほら、うまい棒あげるから、ね?」
ネコさんはバオの頭をよしよしと撫でたり、
(にくきゅうには癒し効果があるのです)
首輪のところからハンカチを出して、バオの涙を拭いたりと大忙し。
暫くして落ち着いてきたバオに詳しい話を聞いてみると…。
ネコさん:「なるほど。早く帰ろうと思って駅裏の路地を通ったところ、
”なぞなぞアロハ”に出会って声をかけられた、と。
話はよく分からなかったけど、寒い日でかわいそうだと思ったので、
彼の前にある空き缶にお金を入れたら、煙のように消えてしまった…
…と、いうことなんだね?」
バオ :「うんうん。」
ネコさん:「周りを見たけど誰もいないし、見つからない。
だから怖くなって走って来たんだね?」
バオ :「(こくこくと頷きながらうまい棒の包みを開ける)」
ネコさん:「彼は何と言っていたの?」
バオ :「(ぽりぽりとうまい棒を齧りながら)あい。」
渡されたスマートフォンの画面には『AUTO REC.1』の文字。
ネコさんがバオに掛けさせているスマートグラス、
そこから転送された防犯用の自動録画システムの画面でした。
再生のボタンを押すと、目つきの悪いピンクのアロハのオジサンが
こちらに向かって語り掛けてきます。
「それはすべてであり、なにものでもない。
それは”かみ”である。
それは”かみ”であり、”きんぞく”でもある。
それはたしかにどこにでもあるのに、だれもがそれをほしがってしまう。
それはたしかにそこにあるのに、じんじなければなくなってしまう。
それはたしかにたいせつなもの。なのに、それはわたされてしまう。」
画面の向こうのおじさんは抑揚のない声で言いました。
それを見たネコさんの目が大きくなった…ような気がしました。
ネコさん:「!…しょうがないなあ。ちょっと待ってて、バオ。」
バオ :「?」
そういって奥に引っ込んでしまったネコさん。
バオがうまい棒の2袋目を齧っていると、ネコさんが戻ってきました。
口にはカワイイ巾着袋を加えています。
バオ :「ネコさん、それは?」
ネコさん:「まあ、ちょっと早いプレゼント、みたいなものだよ。」
ネコさんは少し照れながらバオに巾着袋を差し出しました。
中には沢山のうまい棒とマジックのセットが入っています。
ネコさん:「バオは前、マジシャンになりたいっていってたよね?
覚えて、友達の前でやってみたらいいよ。」
バオの表情にたちまち満面の笑みが浮かびます。
バオ :「ネコさん、ありがとう!これ欲しかったの~~~~~~。」
たまらずネコさんに飛びつくバオ。
ネコさん:「わ、やめて、バオ。ほら、袋のうまい棒が潰れちゃうよお~」
…。
その後、うまい棒の2袋目を食べ終わったバオは
もらったばかりのマジックセットを持って外に出かけていきました。
るんるんでした。
縁側にはまたネコさんが一人(?)です。
ネコさんは思いました。
(あのなぞなぞの内容。怪異の類ならそれを解いてもらうのが念願のはず。
何故問題はあれでなくてはいけなかった?
そしてバオがとったアクション。
ここから導き出されるなぞなぞの答えは…)
うまい棒の食べ過ぎで眠くなったネコさんは縁側で丸くなりました。
縁側ではちゃりん、と何かの音がしたような気がしました。
おしまい。
文章:U
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