【Novel】【Antique/Peppermint】♯Infinity-bazooka:02
次の日。学校のトイレ。
少年はポケットに手をいれて”彼”を待った。
右手に触れる安全キャップと黒く冷たい感覚。
少年は説明書の内容を思い出していた。
”射程無限、威力無限、
打てばどんな対象も殺すことのできる脅威の銃です。
対象に先端を向け、安全キャップを外してボタンを押してください。
エネルギーチャージが完了しだい、発射されます。
相手は…”
「相手は瞬時に塵と化します。証拠は全く残りません」
ぽつりと、口を突いて出た。
「なにが、”証拠は残りません”って?」
そこに柄の悪そうな男子学生が現れた。
あばた顔の金髪。少年より一回り以上は大きい。
「それより、持ってきたのかよ。え?ジジイくん。」
「…。」
「それとも”ラクビ―の練習”に付き合いたいのかな?」
「…もう、やめてほしいんだ。」
「はぁ?」
「だから、やめてほしい。」
「ちょっと何言ってるか分かんないな。ジジイ君が俺に意見?意見しているの?」
少年は俯いたまま声を絞り出す。
「…やめてってお願いしてるだけじゃない。」
「それが、そ、れ、が人にモノを頼む態度?
今日もセンセイがいってたよなあ。
”人と話すときはちゃんと目をみなさい”って。
ジジイ君はホントしょうがない。
俺が直接教えてやるよ。」
金髪の彼は少年に近寄ってその髪を乱暴に掴んで引っ張り上げた。
そして強引に自分の方を向かせる。
「ほら、これで俺の目が見えただろ?」
彼は本当に楽しそうな声音で言った。
「痛っ、…やめて、お願いだから」
髪を毟られそうな苦痛。少年は呻きながら言った。
「やめてやるよ。出すもん出したらな。ほら、早くしろよ。」
そういいながら、彼は少年の髪を更に強く引く。
ブチブチ、と髪の抜ける音がした。
「痛い痛い痛い。やめて。やめてよ。やめて。」
少年はポケットから手を出し抵抗しようとした。
手には黒いあの棒があった。
安全キャップは外れていた。
「やめて。もう、やめてくれ!」
少年は彼に棒の先端を押し付け、
…おもむろにボタンを押した。
-To be continued-
文章:U
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